2025-06-19
日本商工会議所ならびに東京商工会議所は6月4日、「中小企業の賃金改定に関する調査」の結果を公表した。本調査は、昨年度に引き続き、雇用の7割を支える中小企業における賃上げの実態を詳細に把握し、今後の要望活動に活かすことを目的として、本年4月から5月にかけて全国47都道府県の会員企業3,042社を対象に実施されたものである。
回答の集計・分析に当たっては、以下のように分類して行われた。
・従業員規模別:全体(3,042社)、小規模企業(従業員20人以下、1,612社)
・地域別:都市部(東京23区・政令指定都市490社)、地方(2,552社、うち小規模企業1,363社)
・雇用形態別:正社員、パート・アルバイト等
1 従業員規模別の賃上げ実施状況
2025年度の賃上げについて、「賃上げを実施する(予定を含む。)」企業は、全体で69.6%(前年比▲4.7ポイント)、小規模企業では57.7%(同▲5.6ポイント)となった。「現時点で未定」とする企業は、全体で23.5%(同+3.1ポイント)、小規模企業では31.9%(同+2.9ポイント)であり、価格転嫁の遅れや米国の関税措置などによる先行きの不透明感から、慎重な姿勢を取る企業が増加している。
なお、「賃上げを実施する(予定を含む。)」と回答した企業のうち、「業績の改善が見られないが賃上げを実施する(予定を含む。)」とする防衛的な賃上げを行う企業は、全体で60.1%(同+1.0ポイント)、小規模企業では62.8%(同▲1.3ポイント)となっている。主な理由としては、「人材の確保・採用」が71.5%、「物価上昇への対応」が69.4%となっている。
2 地域別の賃上げ実施状況
「賃上げを実施する(予定を含む。)」企業の割合は、都市部で71.4%、地方で69.3%となっている。一方で、地方・小規模企業では57.1%と全体より12.5ポイント低く、「現時点で未定」との回答も33.5%に達しており、賃上げに対してより慎重な姿勢が見られるとしている。
3 雇用形態別の賃上げ実施状況
正社員(月給)の賃上げについて、全体では賃上げ額11,074円、賃上げ率4.03%(同+0.41ポイント)、小規模企業では賃上げ額9,568円、賃上げ率3.54%(同+0.20ポイント)となっている。
地域別では、都市部は賃上げ額12,857円、賃上げ率4.37%(同+0.48ポイント)、地方は賃上げ額10,627円、賃上げ率3.94%(同+0.41ポイント)、地方・小規模企業では賃上げ額9,269円、賃上げ率3.55%(同+0.34ポイント)となっており、都市部・地方ともに前年を上回る賃上げが実施されているが、地方の小規模企業においては賃上げ幅が相対的に小さい傾向にあるとしている。
(参考)「中小企業の賃金改定に関する調査」
https://www.jcci.or.jp/news/research/2025/0604153019.html