2025-06-20
財務省は令和7年6月13日「政府系金融機関による企業ヒアリング(米国関税措置の影響)の結果」を公表した。
財務省では令和7年4月22日に「米国関税措置の影響に関する企業ヒアリングの結果」と併せて「政府系金融機関による企業ヒアリング(米国関税措置の影響)の結果」を公表しており、今回の調査は事業者を取り巻く環境が変化する中、改めて5月末時点で融資先等にヒアリングを実施したものである。
令和7年4月22日に行われた「米国関税措置の影響に関する企業ヒアリング」は今年4月9日~15日の期間に、全国518社(製造業317社、非製造業176社、業界団体等25社)を対象に実施したもので、ヒアリングの結果概要は、「すでに影響が出ているとの声は1割弱であり、現時点で影響がないとの声が多数」、「ただし、現時点で影響はないものの、今後の影響を懸念する声も多く聞かれた」というものであった。
ヒアリング対象の政府系金融機関は、日本政策投資銀行(DBJ)【大企業・中堅企業】、日本公庫【中小企業・小規模事業者】、国際協力銀行(JBIC)【主として大企業(海外拠点を含む)】で、令和7年4月22日には、DBJは輸送用機械・はん用機械を中心に227先のヒアリングを実施し、日本公庫は、中小事業部で、製造業を中心に705先のヒアリングを実施し、国民事業部で、全国の商工会・商工会議所277先のヒアリングを実施し、農林事業部で、農業・畜産業・林業・漁業に30先のヒアリングを実施した。また、JBICでは、自動車・半導体・重工・電力・資源等165先のヒアリングを実施した。
令和7年6月13日には、DBJは輸送用機械・はん用機械を中心に230先のヒアリングを実施し、日本公庫は、4月22日と同数のヒアリングを行い、JBICでは、4月22日に行った事業者を継続フォロー、アップデートを実施した。
令和7年6月13日の各政府系金融機関の調査結果概要は以下のとおりである。
DBJ【大企業・中堅企業】
・融資先(230先)にヒアリングを実施した結果、販売量の減少や生産コストの増加など、事業全体で影響が発生しうるとの回答は全体の2割、資金繰りで影響が発生しうるとの回答は全体の1割弱と、前回(4月22日)調査から大きな変化はなかった。
・輸送用機械(自動車業界)に対象を絞ると、事業全体で影響が発生しうるとの回答が5割と前回(4月22日)調査から拡大、資金繰りで影響が発生しうるとの回答が2割と前回から大きな変化はなかった。
日本公庫【中小企業•小規模事業者】
・中小事業部の融資先(705先)、全国の商工会・商工会議所(277先)にヒアリングを実施した結果、「現時点で影響あり」「今後影響が、発生する可能性がある」の割合が、前回(4月22日)調査から若干増加しているものの、引き続き、影響なしとの声が多数であった。
JBIC【主として大企業(海外拠点を含む)】
・自動車・重工・鉄鋼・資源等を継続フォローし、アップデート(海外拠点についても聴取)を行った。
・不透明な状況が続き、影響は様子見であるも、関税措置による景気悪化、コスト増加、クレジットスプレッド拡大等に伴う懸念があり、具体的には、自動車における設備投資資金、販売を下支えする資金の潜在的なニーズに加え、米国・第三国間の関税による影響や、インフレの影響が懸念される分野(LNG)がある。米国向け直接輸出は代替困難な製品が多いため、影響が限定的な分野(鉄鋼)も存在するが、間接的な影響には留意が必要である。
・地域別にみると、地産地消型のビジネスであり影響は軽微という声がある一方、中国など一部製造拠点を米国・東南アジアに移管する動きがある。米国への輸出減に伴い、他地域での価格競争等を懸念する声がある。
(参考)政府系金融機関による企業ヒアリング(米国関税措置の影響)の結果
https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/20250613_kekka.pdf
(参考)米国関税措置の影響に関する企業ヒアリングの結果