わが国の財政、月収30万円の家計で38万円の生活費

財務省がまとめた日本の財政関係資料によると、わが国の一般会計を手取り月収30万円の家計に例えると、毎月給料収入を上回る38万円の生活費を支出し、過去の借金の利息支払い分を含めて毎月18万円の新しい借金をしている厳しい状況であることが明らかになっている。家計の抜本的見直し(財政再建)をしなければ、子どもに莫大な借金を残し、いつかは破産してしまう危険な状況であることが浮き彫りになっている。

現在の家計(ローン残高が5397万円ある)の姿は、支出をみると、生活費が38万円(構成比76%)、利息の支払いが5万円(9%)、元本の返済が7万円(15%)の合計50万円である一方、これらの支出を賄う収入は、給料収入が30万円(59%)、その他の収入が3万円(6%)と必要な収入の65%しかなく、残りの18万円(35%)は借金に頼っている。毎月新たな借金をして、給料水準を上回る水準の生活を維持しているのだ。

2017年度一般会計予算の歳出総額は97兆4547億円にのぼる。その内訳は、「社会保障」(33.3%)や「地方交付税交付金等」(16.0%)など、歳出のうち国債費を除いた経費である「基礎的財政収支対象経費」が75.9%(73兆9262億円)を占める。残りの24.1%(23兆5285億円)は、国債の「利払費等」が9.4%、同「債務償還費」が14.7%。つまり、国債費と社会保障関係費、地方交付税交付金等で歳出全体の7割以上を占めている。

一方で2017年度一般会計予算の歳入のうち税収は、「所得税」(18.4%)や「消費税」(17.6%)、「法人税」(12.7%)など総額57兆7120億円(59.2%)を見込んでいる。本来、その年の歳出はその年の税収や税外収入で賄うべきだが、2017年度予算では歳出全体の3分の2程度しか賄えていない。この結果、残りの3分の1程度(35.3%)を「公債金」(34兆3698億円)すなわち借金に依存しており、これは将来世代の負担となる。

ちなみに、わが国の公債残高は、年々増加の一途を辿り、2017年度末の普通公債残高は約865兆円にのぼると見込まれているが、これは税収約15年分に相当する。勤労者世帯(平均世帯人員3.39人)の平均年間可処分所得が約513万円のところ、国民1人当たり約688万円の債務を負っていることになる。永年、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化が叫ばれるが、実現の道は遠い。財政再建は必至といえる。