2016年分所得税等の確定申告から適用される改正事項

2016年分の所得税等の確定申告が近付いているが、この確定申告から適用される改正事項に改めて留意したい。主な改正事項には、(1) 日本国外に居住する親族(国外居住親族)に係る扶養控除等の書類の添付義務化、(2) 住宅の多世帯同居改修工事等に係る税額控除の特例の創設、(3) 金融所得一体課税、(4) 被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設、などがある。

まず(1)は、確定申告において、非居住者である親族に係る扶養控除、配偶者(特別)控除又は障害者控除の適用を受ける居住者は、親族関係書類(国外居住親族がその居住者の親族であることを証する書類をいう)及び送金関係書類(国外居住親族の生活費又は養育費に充てるための支払を、必要の都度、各人に行ったことを明らかにする書類をいう)を確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際に提示しなければならないこととなった。

次に、(2)の住宅の多世帯同居改修工事等に係る税額控除の特例の創設では、個人が有する居住用の家屋について、多世帯同居改修工事等(他の世帯との同居をするのに必要な設備の数を増加させるための増築、改築、修繕又は模様替えをいう)を行った場合に、その居住用の家屋を2016年4月1日以後に居住の用に供したときは、特定増改築等住宅借入金等特別控除又は住宅特定改修特別税額控除を受けられることとなった。

(3)では、2016年1月から本格的な金融所得課税の一体化税制が施行され、これまで非課税とされてきた公社債や公社債投資信託等の譲渡による所得が分離課税化され、その譲渡益は、原則、確定申告が必要となった。また、従来、総合課税の雑所得の対象だったこれらの償還・解約や源泉分離課税の対象だったこれらの利子の一定のものは、課税方式を「申告分離課税」に統一し、上場株式等の譲渡損益との損益通算や繰越控除が可能とされた。

この改正に伴い、「株式等に係る譲渡所得等」の区分が、上場株式や国債などの「上場株式等に係る譲渡所得等」と非上場株式や私募債などの「一般株式等に係る譲渡所得等」の区分に改組され、これら相互の譲渡損益の通算ができなくなった。さらに、「上場株式等」の範囲となった国債等の一定の公社債は、源泉徴収口座による取引や利子の受入れが可能とされ、その口座内の上場株式等の譲渡損益や配当等との損益通算の対象とされている。

最後に、(4)の被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設については、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた一定の要件を満たす家屋及びその敷地の用に供されていた土地等を相続又は遺贈により取得をした個人が、2016年4月1日以後に、一定の譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡所得の金額について3000万円の特別控除を適用できることとなっている。