マイナンバーカード普及率30%に、昨年から倍増

総務省の公表資料によると、マイナンバーカードの普及率(人口に対する交付枚数率)が、2021年5月1日現在、全国で30%(交付枚数3812万9334枚)にのぼることが明らかになった。町村別では新潟県粟島浦村が75.3%(交付枚数256枚)、特別区・市別では石川県加賀市が65.1%(交付枚数4万3216枚)、都道府県別では宮崎県が39.9%(交付枚数43万7390枚)でそれぞれ最も高い普及率だった。

マイナンバーカード制度は、住民票を持つ全ての人に12ケタの番号を割り当て、社会保障や納税情報を管理するもの。2015年10月から順次マイナンバーの個人への通知が始まり、運用がスタートしたのが2016年1月。その後の全国の普及率をみると、2017年9%→2018年11.5%→2019年13.5%→2020年16.4%と普及率は低迷(2018年と2019年は7月現在、その他は5月現在)していたが、2021年は倍増したことになる。

この要因の一つには、総務省がマイナンバーカード普及促進のために2020年9月に「マイナポイント制度」を導入したことがある。キャッシュレス決済すると利用額の25%、最大5000円のポイントが還元されるマイナポイント制度を利用するにはマイナンバーカードカードを取得する必要があり、カード取得のための申請期限が、2021年4月までだったことが、大幅増加の要因だったようだ。

マイナンバー制度によって、所得などの受給状況が把握しやすくなる。社会保障と税制度の効率性・透明性を高め、国民の利便性を向上させることが、制度を導入する目的。菅首相はマイナンバーカードの普及を急いでおり、2022年度末までに全国民への普及を目指しているが、マイナポイント制度や返礼品人気で好調なふるさと納税制度のような国民がメリットを感じられる政策が行われるかが、普及のポイントになるものとみられている。

今後、健康保険証や運転免許証との一体化などが予定され、マイナンバーカードは、政府のデジタル推進の中心に位置づけられる。この5月12日に成立したデジタル改革関連6法に盛り込まれたデジタル庁は、本年9月に発足し、総務省及び内閣府から移管されるマイナンバー制度の企画・立案業務を行うことになる。2022年度末のマイナンバーカード普及率100%に向け、時間がない中でデジタル庁がどのように関われるのかが注目される。