生命保険契約の権利の評価に関する通達改正を予定

国税庁は、「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正を予定しており、その(案)に対するパブリックコメントの募集を開始している。意見募集の締切は5月27日。今回の見直しは、2021年7月1日以後に行う保険契約等に関する権利の支給から適用する。取扱いの見直しの対象となったのは、かねてよりその行方が注目されていた保険契約等に関する権利の評価についてである。

所得税法上、使用者が役員又は使用人に対して生命保険契約若しくは損害保険契約又はこれらに類する保険契約に関する権利を支給した場合には、支給時において保険契約等を解約した場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額)で評価することとされている。

他方、「低解約返戻金型保険」や「復旧できる払済保険」など解約返戻金の額が著しく低いと認められる保険契約等については、第三者との通常の取引において低い解約返戻金の額で名義変更等を行うことは想定されないことから、支給時解約返戻金の額で評価することは適当でないと考えられている。今回見直しの対象となったのは、こうした「解約返戻金の額が著しく低いと認められる保険契約等」の評価方法だ。

改正案の概要をみると、法人税基本通達では、保険契約等に関する権利について、支払保険料の一部を前払保険料として資産計上する取扱いが定められているが、このような法人税基本通達の取扱いを踏まえ、使用者が役員又は使用人に対して解約返戻金の額が著しく低いと認められる次の保険契約等に関する権利を支給した場合には、次の金額で評価することとするとしている。

それは、(1)支給時解約返戻金の額が支給時資産計上額の70%に相当する金額未満である保険契約等に関する権利を支給した場合には、支給時資産計上額により評価する、(2)復旧することのできる払済保険その他これに類する保険契約等に関する権利を支給した場合には、支給時資産計上額に法人税基本通達9-3-7の2の取扱いにより使用者が損金に算入した金額を加算した金額により評価する、というもの。

ここでいう「支給時資産計上額」とは、使用者が支払った保険料の額のうちその保険契約等に関する権利の支給時の直前において前払保険料として法人税基本通達の取扱いにより資産に計上すべき金額をいい、預け金などで処理した前納保険料の金額、未収の剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額を加算した金額をいう。

この件については↓
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000218501