2019事務年度に海外の金融口座情報約206万件を入手

経済のグローバル化に伴い、企業や個人の海外取引や海外資産の保有・運用形態が複雑・多様化するなか、国税庁では、CRS(共通報告基準)に基づく非居住者金融口座情報(CRS情報)やCbCR(国別報告事項)の自動的情報交換、租税条約等の規定に基づく外国税務当局との情報交換を積極的に実施している。わが国の情報交換ネットワークも、2021年1月1日現在で78条約等(142ヵ国・地域に適用)まで拡大している。

国税庁が2日に公表した昨年6月までの1年間(2019事務年度)における租税条約等に基づく情報交換事績の概要によると、我が国にとって3回目となるCRS情報の自動的情報交換において、日本の非居住者に係る金融口座情報約47万件を65ヵ国・地域に提供した一方、日本の居住者に係る金融口座情報約206万件を86ヵ国・地域から受領している。これらの情報は、富裕層による海外資産隠しなどの税務調査に生かす。

わが国と同様に、CRS情報の自動的情報交換を開始した国・地域については、初回1年目の2018年分の交換では、原則として新規口座及び個人の2016年12月末以前に開設された口座残高1億円超の既存の高額口座が交換対象となっており、2020年6月までに約75万件を入手。さらに、2年目の2019年分以降は、残高1億円以下の個人既存低額口座及び法人既存口座も対象となっており、入手情報が大幅に増加している。

また、国税庁から844社分のCbCRを52ヵ国・地域に提供した一方、外国税務当局から1751社分のCbCRを44ヵ国・地域から受領した。CbCRの自動的情報交換は、OECD のBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの勧告(行動13「多国籍企業情報の文書化」)に基づくもの。受領したCbCRは、移転価格リスク評価その他のBEPS に関連するリスク評価及び統計に使用することとしている。

そのほか、2019事務年度に国税庁から外国税務当局に発した「要請に基づく情報交換」の要請件数は613件(前事務年度825件)。他方、外国税務当局から国税庁に寄せられた要請件数は233件(同191件)となった。また、「自発的情報交換」については、2019事務年度に国税庁から外国税務当局に提供した件数は106件(同126件)。他方、外国税務当局から国税庁に提供されたのは394件(同9666件)と大幅に減少している。

2019事務年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0021001-087.pdf