2025-10-15
金融庁は、9月12日、一般社団法人全国銀行協会などの団体等に対して、警察庁と連名で、預貯金口座の不正利用等の防止に向けた対策を改めて要請した。
要請した対策は、1.口座開設時における不正利用防止及び実態把握の強化、2.利用者側のアクセス環境や取引の金額・頻度等の妥当性に着目した多層的な検知、3.不正の用途や犯行の手口に着目した検知シナリオ・敷居値の充実・精緻化、4.検知及びその後の顧客への確認、出金停止・凍結・解約等の措置の迅速化、5.インターネットバンキングに係る対策の強化、6.振込名義変更による暗号資産交換業者及び資金移動業者への送金停止等、7.不正等の端緒・実態の把握に資する金融機関間での情報共有、8.警察への情報提供・連携の強化の8項目となっている。
金融庁では、法人口座を悪用した事案等の発生を受け、預貯金口座を通じて行われる金融犯罪への対策が急務となっており、インターネットバンキング等の非対面取引が広く普及していることを踏まえ、規模・立地によらず対策が必要であることから、全ての預金取扱金融機関に対し、2024年8月に対策を要請しており、システム上の対応が必要など、直ちに対策を講じることが困難な場合、計画的に対応することが重要であるとしていた。
今回の要請は、インターネットバンキングを通じた振込による被害が急速に拡大しており、被害者本人が被害金を振り込まされるケースも念頭に、どう防止・検知し、被害を食い止めるかが重要であり、最近の手口(口座の貸借、異名義送金)への対応についても合わせて追加・改訂を行ったものである。
2025年9月要請で追加した項目は、口座開設時における不正防止及び実態把握の強化、インターネットバンキングに係る対策の強化、振込名義変更による暗号資産交換業者及び資金移動業者への送金停止等、警察への情報提供•連携の強化となっており、特にインターネットバンキングに係る対策の強化について、①利用申込みの際の確認・注意喚起、②初期利用限度額の適切な設定、③利用開始後・利用限度額引上げ時の確認・注意喚起を行い、被害対策の防止を強く呼びかけている。
なお、対策の要請を行った団体は、一般社団法人全国銀行協会、一般社団法人全国地方銀行協会、一般社団法人第二地方銀行協会、一般社団法人全国信用金庫協会、一般社団法人全国信用組合中央協会、一般社団法人全国労働金庫協会、株式会社ゆうちょ銀行、農林中央金庫、株式会社商工組合中央金庫となっている。
(参考)法人口座及びインターネットバンキングの利用を含む預貯金口座の不正利用等防止に向けた対策の一層の強化について