経団連、少子化対策財源として消費税も有力な選択肢

日本経団連は11日に発表した2024年度税制改正に関する提言の中で、国民の暮らしや安心を支えるセーフティーネットである社会保障制度(医療、介護、年金、少子化対策)の持続可能性の確保に向け、税・社会保障一体で改革を推進していくことが必要だとした上で、その財源として、中長期的な視点からは、消費税の引上げは有力な選択肢の1つと提言した。ただし実施時期と上げ幅については経済情勢を踏まえて検討すべきだとした。

提言によると、高齢化が一段と進み、医療・介護を中心に給付が増加する一方、生産年齢人口の急速な減少が見込まれ、社会保障制度の持続可能性が問われていると指摘。そうしたなか、分厚い中間層の形成のためには、社会保障制度の持続可能性の確保に向け、給付の伸びを適切に抑制するとともに、社会保険料に依存している負担の構造を見直し、安定的な財源の確保を進めるなど、税・社会保障一体で改革を推進していく必要があるとした。

社会保障の財源については、今後の人口構成を踏まえつつ、将来にわたって日本がどのようなレベルの福祉国家を目指し、同時にどのような負担が生ずるのか、国民や企業の理解を得ながら世論を喚起していく必要がある。その上で、所得税、法人税は景気変動の影響を受けやすいなどの特徴を踏まえながら、社会保険料と様々な税を組み合わせることにより、バランスの取れた負担のあり方を検討していくことを提言した。

その中で、消費税については、広く全世代の国民全体が負担、生涯所得に対して比例的で長期的には公平、財源として安定的などの特徴により、社会保障財源としての重要性が高く、中長期的な視点からは、その引上げは有力な選択肢の1つと指摘。ただし、わが国において、過去、消費税率の引上げが景気に影響を与えたことにも留意しつつ、その実施時期と上げ幅については、経済情勢を踏まえて検討する必要があるとの考えを示した。

また、所得税については、2023年度税制改正を踏まえ、高所得者層における負担状況等をデータに基づいて検証しながら、所得再分配機能を適切に発揮する観点から、経済への影響にも留意しつつ、必要な対応を検討していくべきであること。さらに、法人税、所得税、消費税の基幹3税以外にも、資産課税のあり方や、資産の保有状況を勘案した社会保険料負担などについて、検討すべきことを要望している。

2024年度税制改正に関する提言の概要は↓
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/062_gaiyo.pdf