公正証書作成手続のデジタル化

日本公証人連合会(日公連)は、9月8日に2025年10月1日から公正証書の作成手続のデジタル化、公正証書の手数料の改正についてのパンフレットを公表した。
 
2025年10月1日以降、順次指定される指定公証人の役場で、公正証書の作成手続がデジタル化される。
 
具体的には、1.インターネットによる嘱託、2.ウェブ会議の利用(リモート方式)が利用可能となり、3.電子データでの作成が原則となる。また、公正証書の作成手続のデジタル化に併せて、手数料が見直される。
 
1.インターネットによる嘱託が可能
従前からの嘱託方式では、公証役場に来所して印鑑証明書等の書面により本人確認を行っていたが、新たに追加された嘱託方式では、電子データ(嘱託に係る情報)に電子署名、電子証明書を付し、インターネットからメールで送信して、電子的に本人確認を行うことになり、来所することが不要となる。
 
2.ウェブ会議の利用(リモート方式)が可能
従前からの作成方式では、公証役場等で公証人と対面して作成する方式であったが(遺言の場合や、代理作成になじまない行為で本人が公証役場に来所することが著しく困難な場合等に限り、公証人が出張して作成する方式も可能)、新たに追加された作成方式では、公証役場の外からウェブ会議に参加して作成する方式も可能となる。
 
具体的なリモート方式による作成手続の流れは、①ウェブ会議招待メールからウェブ会議に参加、②公証人による映像・音声の確認、本人確認•意思確認、③公正証書案文を画面に表示して公証人が読み上げ、列席者が内容確認、④公証人から列席者に対し、③の案文を記録したPDFファイルへの電子サインをメールで依頼、⑤ ④のメールを受信した列席者全員が電子サインを実施して送信、⑥公証人が電子サイン・電子署名を行うことで公正証書原本が完成するというものである。
 
3.電子データでの作成が原則となる
法律上、紙での作成が必要な場合(保証意思宣明公正証書等)や添付資料をPDF化できない等、デジタル作成が困難な場合を除き、公正証書は、原則として電子データで作成・保存されることになる。また公正証書に記録された事項の証明情報(いわゆる正本・謄抄本)は、電子データでの発行・交付、紙の書面での発行・交付のいずれも可能となる。
 
公正証書の作成手続のデジタル化に併せて改正となる手数料のポイントは、1. 公正証書のデジタル化に伴う必要な規定の追加、2. ひとり親家庭や身寄りのない高齢者等にとって作成のニーズが高い公正証書の作成の負担軽減、3. 近時の物価上昇等への対応となっている。
 
(参考)2025年10月1日から公正証書の作成手続がデジタル化されます!

https://www.koshonin.gr.jp/news/nikkoren/20250908-2.html