相続税申告書への被相続人の個人番号の記載は不要に

国税庁は、相続税申告書への被相続人のマイナンバー(個人番号)記載の取扱いを見直し、2016年10月1日以降に提出する相続税申告書から、被相続人のマイナンバーの記載を不要にすることを公表した。従来は、2016年1月1日以降に相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む)により取得する財産に係る相続税の申告書には、被相続人のマイナンバーの記載が求められていた。

ただし、被相続人のマイナンバーを事前に取得する困難性等を踏まえ、国税庁が今年7月に公表した「相続税・贈与税に関するFAQ」では、被相続人のマイナンバーを確認できない場合には、被相続人のマイナンバーを記載せずに相続税申告書を提出できる取扱いが示されていた。しかし、相続人等からは、「故人から相続開始後にマイナンバーの提供を受けることはできないため、相続税申告書への記載は困難」などの声が高まっていた。

さらには、「相続開始前に相続税の申告のために、あらかじめマイナンバーの提供を受けておくことは、親族間であっても抵抗がある」といった趣旨の納税者等の意見をもあり、国税庁は、関係省庁との協議・検討を重ねた結果、被相続人のマイナンバー記載等に関する困難性や、生前にマイナンバーの提供を受けることへの抵抗感、安全管理措置等の負担を考慮し、10月以降はマイナンバー記載を不要とする取扱いに変更したもの。

この変更に伴い、国税庁は、上記の「相続税・贈与税に関するFAQ」の関連部分を削除するとともに、すでに同庁のホームページに掲載されている相続税の申告書は、被相続人の個人番号欄に斜線が引かれ、記載ができない様式に変更されている。国税庁では、被相続人の個人番号欄がある従前の申告書の様式を使用する場合には、同欄は記載せず、空欄で提出するよう注意を呼びかけている。

また、すでに提出された相続税申告書に被相続人のマイナンバーが記載されている場合には、税務署でマイナンバー部分をマスキングするとしており、納税者が改めて新様式の相続税申告書を再提出する必要はない。