店舗が決済事業者に支払う電子マネー手数料の取扱い 

経済産業省が2025年までに紙幣・硬貨を使用しないキャッシュレス決済を40%まで引き上げる「キャッシュレス・ビジョン」を策定するなか、クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済がすごい勢いで普及している。そこで、問題となるのは、キャッシュレス決済において、店舗が決済事業者に支払う手数料の消費税の取扱いだ。電子マネーといっても今はクレジットカードや交通系IC、LINE Payなどいろんな種類がある。

まず、クレジットカードの決済手数料は非課税だ。消費税法や消費税基本通達では、売掛金その他の金銭債権の譲渡は非課税とされている。クレジットカードによる決済はお店側が消費者に対して代金を請求できる権利(金銭債権)を信販会社に譲渡し、その譲渡代金を受けとるという金銭債権の譲渡であると考えられているためだ。IDやQUICKPAYなどもこれに該当するが、この時にかかる決済手数料の消費税は非課税になる。

一方で、交通系ICやLINE Payなどの決済に係る電子マネーの手数料は課税となる。これらの電子マネーは事前にお金をチャージしておくが、それはあくまで現金を電子マネーに変えただけで、商品を購入した際は現金で購入するのと同様になる。つまり、交通系ICなどで支払を受けた時点で、現金をもらったのと同じ扱いになることから、お店側には消費者に対する金銭債権自体が発生しないことになる。

お店側は消費者に対する金銭債権が発生しないのでクレジットカードのように金銭債権を譲渡して代金をもらうことはできないから、その代わりに新しく信販会社に請求できる権利を取得する。その請求に対して支払いが行われ、その際に発生する手数料という考え方なため、課税になるわけだ。店舗が決済代行事業者に対して負担する手数料は、決済代行に係る役務の提供の対価として、課税になると考えられる。

ちなみに、クレジットカードでも決済代行会社が間に入っている場合は、システム利用料のような名目になり課税になる場合があるので、契約内容や明細をしっかり確認する必要がある。キャッシュレス決済において、店舗が決済事業者に支払う手数料の消費税の取扱いは、あくまでも、その決済手数料が「金銭債権の譲渡によるものかどうか」で判断することになるので、実際の会計処理については専門家に判断を仰ぐことをお勧めしたい。